COMPASS中讃センター 発語から繋がる未来を

木曜日のCOMPASSです。
中讃地区COMPASS児童発達支援センターに昨年から通っているお友達、春から年少さんになりました。
お友達は発語がなく、保護者様は言葉でコミュニケーションがとれるようになって欲しいと願っておられました。
COMPASSには総合的な成長を促すように望まれ、不器用さが無くなり、落ち着いた行動ができるようになり、切り替えがスムーズになり、癇癪もなくしていけたら…という希望も託されました。

支援計画では、発声練習などに取り組み、話せる言葉を増やし、他者とのコミュニケーションがとれるようになることを目指しながら、集団の中でお友達と一緒に過ごしていきながらルールやマナーを身につけられるよう導くことが設定されます。
通い始めた頃のお友達は、とにかく泣いていたと言います。
泣きながら訴えることも指差しやクレーンだけでした。
余暇の時間もひとりで過ごし、他のお友達に目を向けることもなかったそうです。

療育はまず発語を促す課題が行われました。
口、舌の体操、母音などの発声練習、50音表、絵カード(ひらがなカードなど)、歌·手遊び、絵本読み聞かせ、そしてコミュニケーションを取りながら楽しく過ごせるように導きます。
もちろん慣れない着座への課題もありましたが、興味を持ったものには強く反応し、発語には至らないものの、気に入ったものは何度も繰り返し指差しで見せてと要求してきます。
発語に繋がる一連の動作がお友達にとっては難しいことのようでした。
そこで、お友達が発声しやすくなるように、保護者様の許可を頂いて療育時は毎回、口、舌の体操や顔のマッサージを取り入れてみました。
発語が出なくても母音などの発音や発声練習、カード類を繰り返し取り入れ、口の動きなどを見せて真似できるように促します。

手先の成長を促すために取り入れたのは、おはじき、ストロー、コイン、ビー玉、スーパーボール落とし、爪楊枝の色分け、プラ板色分け、洗濯バサミ、クリップ、スナップボタンや花のボタンの付け外し練習、木製ペグの抜き差し、ルーピング、棒通し、木製パズル、立体型はめ、シール貼り、トング、スプーン、お箸練習など多岐に渡り、飽きないよう、また習熟度が上がるごとに少しずつ複雑になるよう構成されました。

成長のキーワードは達成感と自信、そして興味を持って積極的に取り組めるようになること。
お友達はどの課題でも途中で飽きてくるとたちまち離席し、自分の思い通りにならないと癇癪を起こして泣き始めるのだそうです。
そこで、まずは離席の解消を目指し、例えば棒通しや洗濯バサミのつけ外しでは課題の量を減らすことで「もっとやりたい!」とお友達の自発的な要望を誘い、達成感を味わえるように工夫しました。
お友達の様子を見ながら段々元の量に戻し、できたときの喜びが増すようにと狙っていきます。
そして何より心掛けたのは、療育以外の時でもできるだけコミュニケーションを図り、発語を促すことでした。

まだ幼いお友達、なぜ思い通りにさせてもらえないのか、なぜ嫌なことでもやらなきゃいけないのかをしっかり理解するには時間がかかりました。
絵カードを見て言葉を学ぶ課題は大好きなお友達ですが、絵カードを手に取りたがるので「ちょうだい」→「どうぞ」→「ありがとう」のやり取りを教えますが、すぐに貰えないことがわかると怒りだします。
一方でカードを見せても飽きると目を逸らしてしまうのですが、その都度「今はカードを見よう!」と繰り返し話しかけます。

他の教具を提示しても、またカードがやりたいときは目の前の課題に一向に向き合えません。
やりたいことができず、思い通りにならないと怒り、教材を落とすなど癇癪を起こします。
その都度先生も「これが終わったら〇〇するよ!」など繰り返し話して聞かせ、気持ちの切り替えを促します。
時間はかかりましたがこの一連の流れを繰り返す中で、少しずつ理解し、落ち着いて取り組めるようになっていったと言います。

半年が過ぎ、季節は真冬から真夏へと移ります。
その間に繰り返された言葉への挑戦は少しずつ功を奏していきました。
少しずつ言葉が出始め、頼りない発語から次第に言葉の語尾もほとんど言えるようになっていきます。
時折発声時に息を吸いながら発しようとしてしてむせてしまうことがあったのですが、息を吐きながら発するよう長い音の練習を取り入れて改善を試みました。
10月には単語を発することができるようになり、カードなどの復唱もできるようになっていきました。
年明けには単語と単語をくっつけて表現することができるようになり、今では二語文で話をすることも珍しいことではなくなってきています。

「ぱ・ぱ・ぱ」「て・て・て」なども小さい声ながらも出始め、汽車の「シュッシュ」などの音や、自分の好きなゾウなどの動物の鳴き真似ができるようになり、「して」を「て!て!」「もう一回」と訴えながら、何度もチャレンジする意欲を見せるお友達です。
現在では助詞をつけた二語文が増え「ぽんぽ、痛い、うんち行く」と伝えられるまでになってきています。

情緒面でも成長が見られ、当初は興味を示さなかった周囲のお友達の存在に気付き、一緒に遊ぶ楽しさを知ったようです。
お友達に道を譲ったり、椅子をすすめたり、お友達からちょっかいをかけられても嫌がらず笑って過ごせるようになった変化が見られます。
幼稚園に入園して交流が増え、更にお友達との距離が縮んでいるようです。
保護者からもご家庭でも発語が増え、癇癪が減ってきたととても嬉しいご報告を頂けたそうです。

発語が増えてきて第一段階はクリアですが、楽しくコミュニケーションをとるためには、まだ幾つかのステップが待っています。
おそらく会話の上達とともに和やかに会話ができるようになっていくと思われますが、小学校に向けて集団活動でマナーやルールを学び、豊かな未来に繋がる礎となるよう支援を続けていきます。

中讃地区 COMPASS児童発達支援センター
所在地:〒763-0082
    香川県丸亀市土器町東4丁目780
連絡先:0877-24-5328

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