COMPASS高知Jr お友達のペースで

月曜日のCOMPASSです。
COMPASS高知Jrに通い始めて1年半が過ぎたお友達がいます。
とてもマイペースなお友達、声は出せますが自発的な発語はありませんでした。
保護者様は恥ずかしがり屋なのでと前置きされ「会話ができるようになり、人とも関われるようになってほしい。」との希望を話しておられました。
そして「本人のペースで数や読み書きへの理解を深め、学校で自信を持って学習して欲しい。」と成長を願っておられました。

COMPASSに通い始めたのは、翌年に就学を控えた真夏でした。
個別支援計画では、就学に向けて、文字や数字の読み書きに興味を持ち、お箸、鉛筆が正しく持てるように導くという目標が立てられました。
そして、COMPASSでたくさんの場面を設定し、「できる」経験を積み重ね、自信を持って活動に取り組めるようになることを目指します。
そして、もちろん文字の書き取り活動を通して、言葉の理解を深められるように支援していくことも盛り込まれました。

当初のお友達は少し不安そうな様子を見せ、表情も固いものでした。
元気な挨拶を期待して先生から話しかけますが、どの声掛けにも反応がありません。
結局、初日は声を聞かせてくれなかったお友達です。

着座を促し、まずは絵カードで語彙力や対応の力を確認します。
1枚の絵を半分にしたペアカードをの片割れを見せ、机に並べたカードからペアになるカードを探す活動を試してみましたが、お友達は1枚もペアを探すことができませんでした。
動物のカードを見せて名前を尋ねましたが、ほとんどの動物の名前を言えませんでした。
お友達は指示を理解し、手で操作する力はあるのですが、絵に描かれている物の名前や、それが何なのかを理解できていないようでした。

指で紐をつまんで、ビーズを通す「紐通し」でも、1つビーズを通すだけで精一杯の様子でした。
くり抜かれた絵の通りに正しい絵柄と形を嵌め込むパズルでは、合う形を見つけることはできますが、形の認識が苦手なようでした。
すぐに集中が途切れ、何度も声をかけ続けることが必要だったそうです。

「元気よく挨拶」は保護者さまがおっしゃっていた恥ずかしがり屋のお友達にとって最初のハードルだったかもしれません。
お手本にと先生の方からハキハキ挨拶し、お友達の挨拶が返ってくるのを待つ日々が始まりました。
挨拶だけでなく、絵本や絵カードなどで発声する際にも、大きな声が出せるように何度も声をかけます。
少しでも頑張りが見られたら誉めちぎり、「次も、もう一度やってみよう!」と思えるように工夫していきました。

当初、送迎車から降りる際にシートベルトの金具に鞄がひっかったことがありました。
ちょっとしたこの出来事がお友達には大変なことだったようで「退(の)けられない!!」と泣いてしまったり、トイレの失敗でズボンが濡れてしまい、それが嫌でまた泣いてしまうこともあったそうです。
少し頑張れば解決できることでも、すぐに諦めがち。
解決できない、手に負えないと思うと、大声で叫ぶか、泣き出すか、怒り出します。
学習でも少しでもつまづくと「できない」「わからない」と怒り出すお友達。
そこで、「読む・復唱する」という課題でも度々気が逸れてしまうので、1つの学習の区切りを短くし、ハードルを下げて、達成感を得られることを優先するよう工夫しました。

月日の経過で少しずつCOMPASSに慣れてきて、周りのお友達との関わりも出てきました。
そんな中、他のお友達にわざとぶつかったり、他のお友達の嫌がることをする様子も見られたと言います。
こういった行動は心が未熟な時代に、相手が自分より弱いと判断したとき、自分の優位性を示したい気持ちの現れだと言われています。
当事者は自分が間違った行動をしていると思ってもいないことが多く、声かけをしても納得できずに指示が通りにくい傾向にあります。
そんな時は絶好の実践の学習の場と捉え、どんな言葉をかければいいのか、どう振る舞えばいいのか、何度もやってみせ、繰り返し何度も対応の仕方を教えていきました。
何度も、何度でも、繰り返しできるまでがモットーのCOMPASSです。
日常の生活動作でも、まず自分でやってみること、片付けること、衛生を保つこと、そして挨拶をすることなどが、お友達の日常に新常識として繰り返しの学びの中でゆっくり浸透していきます。

やがてお友達の成長は徐々に現れてきました。
荷物の片づけや、整理ができるようになりました。
語彙が増え、物の名前も分かるようになり、ひらがなも習得が進み書くことができるようになっています。
小学生になってからもお友達は送迎車のシートベルトを自分で留めようとしなかったのですが、これも練習してひとりで締められるようになりました。
そして少しずつですが「会話」も成り立つようになってきています。

お友達はCOMPASSで出された課題を最後まで諦めずにやることを学び、その結果少しずつできることが増えてきました。
これからはこの諦めない姿勢で自信を持って会話を楽しめるようにまで力をつけていきたいと思っています。
学習面では、現在の課題の継続をしながら数の認知が上げ、一桁数の計算ができるように導いていきます。
お友達は、やっぱりマイペースに成長を続けて行くでしょう。
そして、先生はこれからもお友達のペースを認めながらも絶対に諦めない働きかけを続け、もうすぐ2年生になるお友達と一緒に、次の新しいステージへと向かいます。

COMPASS発達支援センター高知 .Jr
所在地:〒780-0925
    高知県高知市西町86-1
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