COMPASS古賀学びのレシピは？（１） | COMPASS（コンパス）発達支援センター

COMPASS古賀　学びのレシピは？（１）

2022年11月2日

水曜日のCOMPASSです。
COMPASS古賀に通うお友達の初来所は2年前の夏の初めでした。
この頃のお友達は自分のしたいように、思うままに行動するばかりで、指示を聞き入れることはできませんでした。
人懐こい性格なのですが、発語がなく、慣れ親しんだ決まった人としかコミュニケーションが取れませんでした。
また、オムツが手放せず、トイレでの排泄を強く拒否していました。

当時、お友達は小学校１年生。
保護者様は対人関係や社会性を身に着け、言葉でのコミュニケーションが取れるようなって欲しいと願い、排泄の自立や場面ごとの気持ちの切り替えができるようになって欲しいと希望しておられました。
これらの困りごととは別に、保護者様の気になることとして、男女間の距離を理解して適切に振舞ってほしいという希望も語られていました。
保護者様の願いを受け、COMPASSで定めた課題は「コミュニケーション」「発語」「排泄」そして「気持ちの切り替え」などの項目の向上を計ることにしました。
選択したものは、あいうえお50音表、A-1から始まる月齢プリント、単語カードなど語彙を育てるもの、絵本、ぬりえ、お絵かきなどの手先・指先の技巧向上を狙ったもの、そしてままごとなどを通して対人関係や距離を学ぶ課題などでした。

まずどのお友達との活動でも、COMPASSでは「着座姿勢」の習得とその維持から始まります。
ほとんどのお友達は上手に座ることも、その姿勢を維持することもできない状態が多いようです。
最初に学ぶこの着座はとても重要な課題で、それをクリアして初めて目の前の課題に真摯に向き合えるようになります。
その上で、最初の課題として発語の訓練に入りました。
お友達は声が出せないわけでも、話そうとしないわけでもなく、舌足らずというのでしょうか、なんとも不明瞭に聞こえてしまいます。
口舌の体操を行いながら一文字ずつ音を聞かせたり、口の形を見せて、発語の模倣を促していきました。
頼りない発音から、少しでも明瞭化した音が出せたとき、お友達は褒められて嬉しそうです。

苦手な切り替えへの挑戦も始まりました。
気にいって集中しているとき、どんな指示を出してもお友達は気にも留めません。
好きなだけ自分の思うままに行動することに慣れているお友達にとって、指示の意味はわかっても、なぜそうすべきかということを心から理解し、受け入れるのは容易なことではありません。
その度にお友達から何度も何度も拒否され、怒り出し、嫌がられますが、先生は冷静に優しく、そして毅然と「時間です」と切り替えを促しました。
ブレない先生の態度に感情が乱れるお友達ですが、先生は指示を出すだけでなく、少し落ち着いたときにお友達にとって難しい「なぜそうするべきか」を何度も何度も言葉を尽くして話し合いました。
やがて、お友達がままごと遊びをするとき、遊びの流れの区切が良いところで学習へ促すように試み、学習がきちんと終わった後に、遊ぶ約束をすることでスムーズに切り替えられるように変化を見せていきました。
学習する課題は好みのものから始めるという順番を伝えると、笑顔で始められるようになってきました。

これらと並行して行ったのは、多彩なコミュニケーションの取り方の習得です。
話すことが得意でないお友達、その分ジェスチャーを交えながらでも関わりを持てるよう、好きな遊びの中で簡単な身振り手振りを使っての会話に挑戦していきました。
上手に伝えられたときの喜びはお友達の意欲を前向きに育て、そのことがきっかけでお友達は色々なことに目を向けるようになっていきました。

トイレに行くこと、おむつにすることが不快だと感じてくれるようになるにはかなりの時間がかかりました。
始めのうちは間隔を見ながら度々声を掛け、排泄を促し、快・不快の感覚も学んでいきました。
何度かに１回はきちんとトイレに向かうことができ、また何度かに１回はトイレで排泄ができることもありました。
そんなスムーズに行けたときは褒め、他の先生にも「できたって教えてあげて！」と、言ってくるように促し、成果を伝えることでコミュニケーションの機会も作っていきました。

決まったタイミングでトイレに行くよう促しましたが、素直に聞き入れてトイレに行く回数よりも拒否が多かったと言います。

そこで「今日のお勉強はおしまい」というタイミングでトイレを促すように切り替えてみました。
するとトイレに行った後には遊びが待っているという流れができ上がり、スムーズにトイレに行けるようになっていきました。
お友達に明らかな成長が見られ、切り替えやトイレがスムーズになってきたのは１年が経過した頃でした。
（後編に続きます）

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