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発達障がいをどうとらえるか

発達障がいは個性の一つ

「発達障害」・・・この障害という言葉が、大きな誤解を生んでしまう場合があります。障害と聞くと何か重大な問題があるかのようにとらえてしまいがちですが、お子様の特性と考えて頂く方が適切ではなかと思います。

 

他の子どもと比べてしまいがちですが、あくまでも平均的な様子からとびぬけた特性と考える事が大切です。体の大きな子どもには、大きな服や靴を与えるのと同じです。小さな子どもに体に合わない大きな服を与えれば、裾(すそ)を引きずってつまずいてしまいます。その子の体型に合わせた物を与えればそのような心配はなくなります。

 

視力に置き換えた場合、近視や遠視、乱視であれば、その子の視力に合わせた眼鏡やコンタクトを用意するのと同じです。耳が遠くなった祖父母に補聴器を用意すればよく聞き取れるのと同じです。バスや電車に乗ったとき、静かにしなければならないというルールを覚えればそれに対応出来るようになります。友達との接し方、社会でのルールについてもそれと同じことが言えます。

諦めずに出来ることに目を向ける

上手に話せないと諦めるのではなく、上手に話せるように取り組む事が大切です。自転車が乗れない子どもにいきなり補助輪無しで乗るように指示すれば、大抵の子は転んでしまいます。しかし、その子に合わせた大きさで、きちんと補助輪を付けてあげれば、自由に乗り回す事ができるのです。出来ないと諦めてしまわないことが大切です。大抵の場合、どうすれば出来るようになるかを探るのに手間がかかるだけで、出来ないわけではないからです。

 

5歳になったから他の5歳の子どもが出来る事は何でもすぐに出来るようにならなければ、と考える事には問題があると私たちは考えます。何が不足しているのか、何が足りないのか、何を補えばよいのか、出来ない事ばかりおしつけていけば、自信をなくしますし「もういいや」と思うようになります。

 

自信がなければ、本来出来る事も出来なくなってしまうのは大人でも一緒です。自転車やオートバイは乗れなくても、自動車が運転出来る方がどれだけいるでしょうか?実際免許制度も変化し、マニュアル操作(シフトチェンジ)が出来ないが、オートマであれば運転出来るのとよく似た話です。

 

人と上手にお話しする事ができないのは、文章を作ることが苦手なわけで、日々の取組の中で正しい文の模倣を行えば、マネが出来るようになります。表現する語彙が少なければ、語彙力を増す努力を行えば、自然と話の内容に広がりが出てきます。単語が覚えられない場合、正しい発音が出来ないままのケースも見られますが、深刻な機能的障害でない限り、大幅に改善が見込めます。

 

最初から実力とかけ離れた高いハードルを飛ぼうとしても超える事はできませんが、身の丈にあったハードルであれば、繰り返し練習を重ねることにより超える事は可能です。小さなハードルをコツコツと超えて行けば、やがて高いハードルに到達する事が可能であり、子どもたちは自信を持ってそれに取り組む事ができるのです。

 

よく「うちの子は◯◯と診断されて・・・、△△も出来ない、☓☓も出来ない」と思い込んでいらっしゃる場合が多いのですが、出来ないことではなく出来る事に目を向けて頂き、出来る事をいかにして増やしていくかを考えながら対応していくなら、結果に雲泥の差が生じます。

マラソンのコーチングに学ぶ

あれも駄目、これも駄目と思い込まない事が大切です。マラソンのコーチングには2週類の方法があり、走るフォーム等の問題を徹底的に矯正する方法と、本人の長所を徹底的に伸ばし、短所を覆い隠すような指導方法の違いがあります。

 

正しいフォームも大切なのですが、あまりにフォームを気にするあまり、本来の力が出せなくなってしまう事例も沢山あります。もちろん正しいフォームを身に付ける方が良いのですが、正しいフォームにとらわれ過ぎるのは、○歳だからこれくらいは出来ないと駄目だというのに近いのではと思います。

 

ともすると「うちの子はアスペルガーなので◯◯できません」と考えてしまいがちですが、開き直りや諦めからは何も生まれません。症例を知る事は大切ですが、断定は禁物であり、いかに取り組む事が出来るか、少しでも前進するために何をするべきかを考えて頂く方が大切です。

 

逆に、実はこれも出来ます。このレベルであれば、こんな事もできます。と受け止めて頂くと、では少しプラスしてこれはどうでしょうかと挑戦する事が出来るようになります。長所を伸ばし、自信を付けてから、苦手な分野にもフォローを入れていく方がお子様にとってのより良い支援となります。

 

また、将来を悲観して毎日悩み続けていくよりも、きちんと目標を定めて、その目標に近づく為の方策を週ごと、日ごとと細かく細分化し、お子様の特性にあわせて取り組めば、徐々に好転していく事に繋がります。

 

文献等に記載されている事例はあくまでも1つの事例であり、それが全ての場合に当てはまると考える必要はありません。子どもの良いところを見つけ、正しい評価を与え、自信が持てる課題に取り組み事により必ず次の展望が見えてきます。

 

我が子を育てるのはご親自身である事を再認識して頂き、焦る事なく、諦める事なく、言葉に惑わされず、まず何が出来るのか、得意な事は何かをよく観察し、その子の力を伸ばす事だけに注力しましょう。そうすれば、おぼろげでもお子様にあった解決策が見えてくるようになります。

 

うちの子には◯◯の障害がある。と思い悩むのはやめて、◯◯が苦手なら、どうすれば出来るようになるのかを私達と一緒にお考え頂ければと思います。

 

発達障がいとは一つの個性です。どうか悲観するのではなく、少しでも良くなる方法を模索して下さい。幼い子どもは自分ひとりでそれを乗り越えることはできません。親が毎日の生活の中で、どう対応するか、どう接するか、問題とどう取り組むかによって結果は大きく変わってきます。

幼児期からの適切な療育が鍵

大きくなったら良くなるだろうと考えるのも大きな間違いです。小学校高学年、中学と体が大きくなればなるほど、指導するのは難しくなり、問題克服にも時間がかかります。

 

脳機能に深刻な障害がないかぎり改善の道は残されています。親がお子様の可能性を信ずして誰が信じるのでしょうか?一緒に模索して参りましょう。

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