COMPASS須崎 気分よく、楽しく取り組んで(1)

月曜日のCOMPASSです。
今日ご紹介するのはCOMPASS須崎に通う小学校2年生のお友達。
お友達が通い始めたのはちょうど3年前、お友達が年中さんになったばかりの頃でした。
その頃のお友達は、日常生活動作をほとんど一人ではできない状態でした。
発語はありますが、言葉が不明瞭で聞き取ることが難しく、コミュニケーションへの障碍となっていました。
この「伝わらない」もどかしさ、悔しさはお友達自身が一番わかっていて、それが癇癪として爆発することもあったそうです。

もともと四肢も弱く、身体のバランス感覚にも課題があり、歩行や階段の昇降時には注意が必要でした。
保護者様はそんなお友達に、語られる言葉が理解できるようになり、話せるようになってほしいと願っておられました。
COMPASSでもお友達との関わりの中で遊具を順番に使ったり、貸し借りなどができるようになってほしい、体幹や足腰も丈夫になってほしいと願っておられました。
そしてさまざまなことに対して、興味や関心を持ってもらいたいと希望しておられました。

そんな保護者様の願いを切に受け止めて、立案した個別支援計画ではまず言語領域からアプローチしたいと立案しました。
楽しく色々な言葉を覚え、単語で伝えることができるようになることを目指します。
次に生活習慣へのアプローチとして、トイレで排泄をすることを習慣化し、トイレに行って排尿ができるようになり、必要な習慣を身に着けることを身につけられるように促します。


またお友達は、手足の力が弱いためさまざまな分野で滑らかな動きができないため、身体能力の総合的な向上を目指し、身体を動かす運動遊びなどの活動を通して、体幹を強く、バランス感覚を養うことにもアプローチ。
運動遊びや余暇の時間でもお友達同士で楽しく関わり、マナーやルールを覚え、社会性を身に着けていくことを目指します。

多角面からのアプローチで成長を促す取り組みの実践を通して、お友達がいろいろなことに興味を持ち、鉛筆を使って書くことや数字の学習、色の学習へと興味が広がっていくように、学習面でも意欲的に取り組むことを目標としました。
こうして、目標へ向かって走り出したお友達とのCOMPASSの活動は、ふれあい遊び、手遊び歌、身体を動かす活動から始まります。

綺麗な発声を目指した言葉の訓練は、舌口のトレーニングから始め、絵カードの模倣、絵本の読み聞かせに取り組み、プリントを使ったひらがなや名前を書く練習、数字や色認知の学習を行いました。
手先・指先のトレーニングはスプーンやお箸の練習、ペットボトルのキャップを活用した型はめ、紐通し、棒差し、シール貼りなどです。
COMPASSの活動は楽しい、COMPASSの活動はためになる、ということを先生は大切にしていました。

お友達の当時の年齢では何のためにやっているのか検討もつかないことだったでしょう。
辛い感情で取り組むより、楽しかったという感情が溢れる学びは定着しやすいと言われます。
静と動の活動を交互に組み合わせ、最初はふれあい遊び、手遊び歌、身体を動かす遊び、余裕があるときにはシッポ取りゲームや追いかけっこ、かくれんぼなどで遊ぶことも工夫し、お友達が笑い声をたくさん出せるように心がけました。
個別指導の静の動きのときには、手先のトレーニングにじっくりと取り組むことで着座姿勢を保てるように促しながら、集中時間を延ばしていきました。

色の学習のときは、カラーボンボンや色カードを果物や身の回りにある物の色に例えながら、少しずつ色を覚えられるよう取り組んでいきました。
語彙の獲得と発音矯正のために絵カードを多用しますが、最初なはかなかうまくいきません。
そんな中、お友達が「ママ」と自発的に発する言葉を耳にし、思いついて果物のカードの「もも」の発語を促すと上手に発声できたそうです。
これにヒントを得た先生は、身近にあるもの、口にしたことがある食べ物でイメージが紐付きやすい「果物カード」を発語練習の教材に選びます。

これに加えて更に工夫したのがいわば連想ゲームのような言葉の練習です。
例えばお友達がおそらく一番耳にしている名前の一文字の「ミ」。
そこから「ミカン」の「ミ」へとイメージがつながり、これはちゃんと「ミカン」と発声できました。
こうして身近なところから、徐々に正しい発音が増えるように促していきました。

並行して取り組んできたのがトイレの習慣づけです。
まずは一定時間、40分〜1時間ごとにトイレに行こうと声をかけることから始めました。
徐々に声かけの間隔を長くして、2時間ごとに、その後は1日4回程度の定時排尿につながるよう、習慣化することを目指していきました。
トイレでの排泄練習は、園や学校、ご家庭と連携しながら排泄のタイミングや方法が同じ方向であるように心がけ、お友達を取り巻く全員で取り組みを続けています。

やがてお友達は言葉はでませんが、先生の声掛けや促しに同意できないとき、床を足で強く踏み鳴らしながら怒りを表現し、嫌だ、応じないといった様子を見せることもありました。
そんなときは、気持ちよく切り替えできるようにお友達と向き合います。
指示に素直に従って取り組んでくれるためにはどうしたらいいのだろう?
そこでお友達の好きな内容を組み込んだり、見通しが持てるようにその日の予定を伝えながら、活動に安心して取り組めるように促していきました。

それはすーっと流れを滑って進むような成長ではなく、お友達の場合も行きつ戻りつがありました。
発語練習では、あのとき正しく言えていた「もも」が「ママ」へと戻ってしまったり、母音のうち「え」と「お」がなかなか正しく出なかったり、母音の発音からなかなか進展しなかったり…..という膠着状態が続いたのだそうです。

ここからは根気との勝負です。
お友達が来所して着席したことを褒め、1音でも声を発したら褒め、絵カードの言葉に近い音が出せるとよりいっそう褒め・・・
その褒める励ましは、担当者のみならず、そこにいる全員でお友達を全身で承認するように心がけ、肯定的な言葉を意識的に掛け続けたと言います。

いつも「自分はできるんだ。」という気持ちの芽生えを期待し、意欲が次へとつながるよう心がけました。
時には「◯◯ちゃん!これ得意だよね!!」と大袈裟な承認を送ったり、「これは上手に言えるもんね!」と暗示のような褒め言葉を伝えることで気をよくしたお友達は意外と難なくハードルをクリアすることもあったのだとか。

気分を上げて楽しく取り組むことは大きな成果をもたらします。
できるできないに関わらず、お友達への励まし、賞賛、語り掛けの機会をたくさん作ることで、お友達が言葉を発したり話したりしたいと自分から望んで話したい、伝えたいと思う状況を作りながら、楽しい雰囲気を共有し、お互いに笑い合うことを大事に過ごしていきました。
(後編へ続きます)

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