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手話指導の効用

手話による言語指導

COMPASS発達支援センター本部では、言語指導において、症例に合わせて手話指導を実践しております。

 

手話指導は元来耳の聞こえない方々のコミュニケーション手段として古くから地域それぞれに発展してきたもので、歴史的には17世紀のフランスにて、ド・レペによる教育方法(手話法)が広く知られております。国内でも寺子屋等で指導したという記録もありますが、京都盲唖院での指導がその基礎と考えられています。

 

手話=ろうあ者に対しての教育と考えられがちですが、欧米では既に様々は発達障がいの子供達の支援に導入されておりその点においては、我が国は遅れていると言わざるをえません。英国では全ての養護学校で導入されており高い効果をあげております。

 

 

口蓋の関係や、舌骨の位置の問題等で、言葉の理解はあっても、話す事が苦手なお友達は実に多く、手話の指導はそれらの問題を解決する切り札となります。意思を表明出来る。自分の考えを相手に伝える事が出来るというのは本当に大切な事です。

海外での体験から

以前中国の日本人幼稚園の園長をしていた事があります。未だに中国語は上手く話せませんが、十数年前の北京でもYes.Noの英語も通じない状態で、北京空港に行って欲しい時に北京駅に行った事もありました。発音も母音の数が多く上手く通じません。上記の自分の意思を相手に伝えられない状態と酷似していると思います。

 

その時に役に立ったのがやはりジェスチャーです。手話程高度なコミュニケーションツールではありませんでしたが、日常に困る事は無くなります。レストランに入ってメニューを見ても漢字ばかりで何が出てくるのかわかりませんから、周りの人が食べている物を見て、「これ」と指差すと間違いなく同じ物が出てくるのです。「これ」を示す単語はあとで覚えましたが、最初は、謝謝だけで暫くしのいだ事を覚えています。

 

言葉を発する事が難しいお友達にとって、手話は私のジェスチャーを超える大切なコミュニケーションツールなのです。話せなくても伝える事が出来る素晴らしさは子ども達の満面の笑みで理解する事がどなたでも可能です。

 

疲れたとはっきり発音出来なくても、手話で通じるのです。好き、嫌い等の基本的な意思表示が出来れば、子ども達のストレスも大幅に軽減させる事も出来るのです。大きくなって口蓋の形が整ったり、発音出来るまでに身体的な状況が整うまで待っていると、結局話す事が出来なくなってしまう頻度が圧倒的に高くなるのは数字的にも明らかです。

 

手話をするときに、綺麗な発音ではなくても、一緒に言葉を発する指導をおこなっておりますので、動詞、形容詞等もどんどん覚えてくれます。お子様と一緒に覚えれば良いので保護者の皆様も焦らずご一緒に覚えて頂ければと思います。

言語獲得の為のツールとして

手話を覚える事が出来るようになると、言語習得のスピードも数段早くなります。年中さんでも、平仮名もカタカナも覚えて文章まで書けるようになっているお友達もいます。小学校1年生の教科書も読め、劇的な成長を遂げておられます。

 

全てが手話の御蔭とは申しませんが、少なくとも手話を取り入れる事によって得られた成果は少なくないと考えております。意思疎通が出来るので、「嫌」もなくなります。状態を判断する指針がもてるので互いにストレスも減るのです。学ぼうと受け入れやすい状態になれば、必然的に能力は開花します。

 

ずーっと手話を使おうというのではなく、言語獲得の為のツールとしてお考え頂ければ何よりだと考えます。意味が通じる楽しさはどんな事よりも嬉しい事なのです。伝える術がない子ども達の道をひらく事が出来るのです。

 

今はネットで検索すると指導動画等も沢山出てくると思います。初めての方でもその気になれば簡単ですし、各市町村の市民センター等に相談されると市民講座等で学ぶ機会もあろうかと思います。

 

是非試してみて下さい。

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