COMPASS佐賀中央 始まりと終わりの赤と青

金曜日のCOMPASSです。
COMPASS佐賀中央のお友達、通い始めたのは、1年半前の秋でした。
当時、お友達は周囲に余り関心がないように見えたそうです。
また、日常生活の動作もうまくできず、保護者様は大きくなっていくお友達が「コミュニケーションを取れるようになり、自分の身の周りのことにも関心を持ち、自力で取り組めるようになること。」と願ってしておられました。

遠くない未来の小学校就学もあり、会話を楽しむことや、問題なく生活動作ができることは大切な事柄です。
そこで個別支援計画には「語彙の獲得」「話を聞くことと理解すること。」「ひらがなの読み書き。」が設定されました。
計画にあるように自分の思いを言葉で伝え、相手の気持ちも汲んでコミュニケーションが円滑になること、手先が上手に動かす訓練や、皆で楽しく活動できることを目指します。

当時のお友達は机の着座やトイレの便座に座ることへの拒否感が強かったといいます。
ひらがなを読むこともできませんでした。
そこで、まずは文字と音の一致が理解できるよう「文字を見て、その音を聞いて、自分の口で真似て発声して確かめる。」という一連の流れを繰り返すことにします。
次の段階では興味を持って取り組めるようゲーム性のある「しりとり」を活用して使える語彙力を伸ばしていきます。

遮ることなく「話を聞いてもらう」ことができると誰でも気持ちがいいものです。
ですがお友達は、相手の話を聞くことがとても苦手でした。
そこで工夫してこんな練習を実践してみます。
最初はお友達の番で、先生がお友達の話を聞いてあげます。
ちゃんと聞いているとを示すため「こういうことだね。」と先生が理解したお友達の言いたかったことを伝えるというもの。
次が先生の番で、今度はお友達が先生のお話をちゃんと聞く練習です。
そんな代わりばんこトークの会話練習をずっと継続していきました。

話す・聞くと同時に取り組んだのが「書くこと」と「生活動作」です。
ところがお友達は、器用に手指を動かすことができません。
握力の弱さ、動かし方のぎこちなさに課題があり、靴を揃える、靴下を脱ぐ・履くなどの日常動作がすんなりとはできません。
また、先生が手を添えていなければペンで「書く」動作もできませんでした。

そこで、導入トレーニングとして「なぞり書き用」に専用のペンを作ってみたのだそうです。
それはお友達が持ちやすいようにペンにクッション材をテーピングしたもの。
この特性ペンを使って簡単な線をなぞっていきます。
お友達が「どこを見るのか」がはっきりするように、赤いシールを「ハジマリ」の位置としてマーキング、青いシールを「オワリ」の位置の目印にして、わかりやすく、取り組みやすいように工夫を凝らします。

それは、すぐ目に見える華やかな変身とはなりません。
長い時間をかけて日ごとに、週ごとに・・・
ほんの少しずつですが、COMPASSで知り、学び、繰り返し練習して積み上げたことが、例えば表面では見えなくても、しっかり土の中で根を伸ばして行く植物のように、自信となって確かな力を伸ばしいったのでした。
やがて通い始めて1年後の冬の走りには、ひとりで「なぞり書き」ができるようになりました。

今月で通い始めて1年半。
今ではお友達はすっかり「ひらがな」が読めるようになりました。
言葉によるコミュニケーションでは、自分の思いや気持ちを言葉で表現できるようになってきました。
元気な挨拶が聞かれるようになり、靴や靴下も自分で履けるようになり、何より笑顔で過ごす時間がとても長くなってきました。

周りのお友達との『しりとり遊び』もとても得意になりました。
お友達と自然な言葉のやりとりが交わされ、コミュニケーション力の成長もお友達同士の楽しそうな様子に垣間見ることができます。
着座時間も少しずつ伸び、トイレでも「出なくても1回座ろう!と促した習慣づけが功を奏し、トイレに行けるようなってきました。

1年半の頑張りが今のお友達の笑顔に裏付けされた2度目の春。
来年の小学校就学を控え、ステップアップを考えこれからも握力をつけ、自力でひらがなを書けるようになり、数への認識も育てていきたいと思っています。
また関わりが楽しめている今だからこそ、会話だけでなく、人と関わり、一緒に活動できる力を伸ばし、快活に暮らしていけることを目指していきたいと思っています。

COMPASS発達支援センター佐賀中央
所在地:〒849-0922
    佐賀市高木瀬東1丁目1-6-1
連絡先:0952-97-7358

.

初めての方へ

COMPASSの療育手法
ご利用者の声
COMPASS施設一覧