COMPASS丸亀NEXT 静と動の活動を通して

木曜日のCOMPASSです。
COMPASS丸亀NEXTに昨年1月から通うお友達はこの春小学生になりました。
保護者様は発語がなく、いつもソワソワと落ち着かず動き回るお友達を心配しておられ、来年小学校に進むにあたり「会話ができるようになってほしい。また、落ち着いて行動ができるようになってほしい。」と願っておられました。

お友達の個別支援計画は「集団の中で落ち着いて生活できること。言葉の練習を通して会話を楽しめるようになること。」を基本の目標と設定します。

丸亀NEXTは運動遊びを通してさまざまなアプローチをするのが得意な事業所です。
人間には「味覚」「嗅覚」「視覚」「聴覚」「触覚」という五感があるのはよく知られるところですが、それ以外にも、私たちは無意識に「体を動かす感覚」「姿勢を保つ感覚」などを駆使して暮らしています。
これらの感覚を情報として受けた脳が、その情報を取りまとめコントロールすることで適切な反応となって現れることを「感覚統合」と言います。
発達に凸凹があると、この感覚統合がうまく行っていないことが落ち着かない行動の原因のひとつと言われています。

「落ち着いて行動できるようにという目的に、なぜ運動遊び?」と思われるかもしれません。
着座姿勢をキープして集中できるように導く訓練と同様に、運動療育で期待できる効能は、運動を通して手で触れ、足で体を支えたり蹴り出して歩き、或いは走ったり、その運動をするために目からの情報を処理するなど、たくさんの感覚を通して脳が調整する過程が、やがて静かに座ったり、姿勢を保つような感覚統合をも磨いていくことになるのです。

トレーニングを継続することで、やるべきことがわかっていても動いてしまうような行動がなくなり、頭で考えるだけでなく、体でも考えた通りに動く・静かにするという、全体のバランスを取れるように調整されることが目的です。

さて通い始めた頃のお友達、着座学習で提示された課題には関心を示さず、周りのお友達の様子が、もう気になって気になって仕方ない様子です。
当然、目の前の課題には全く集中できず、すぐに飽きてしまいます。
しかし気になっているはずの周りのお友達とは全く関わることができず、余暇の時間でもひとりきりで過ごしていました。

言葉の不明瞭さの改善を目指して、1音ずつ先生の口の動きに合わせて同じように模倣を繰り返します。
これまで言いたくても不明瞭さのために聞きづらいと言われたり態度で示されたりして、お友達は随分辛い経験をして傷ついていたのでしょう。
そのせいか積極的に言葉を話そうとはしなかったと言います。

それでも、要求したいことを言葉で伝えるとスムーズに通るという喜びや実感を得られるように促します。
何度も伝え方の復唱を繰り返し、上手にできたらとても喜んでくれる先生の励ましがお友達に勇気を与え、頑張ろうとする姿を見せるようになってきました。

手指の訓練や言葉の学習のほか、運動遊びの時間には、飛び石、壁タッチ、ぞうきんウォーク、ボールキャッチ、クマ歩きなどが選択されました。
お友達はCOMPASSに来ると裸足になり、全身の感覚をフル回転しながらさまざまな運動の課題を行います。
毎日行われる運動遊びという動の療育と、静かに集中して机に向かう静の療育を組み合わせることで、集中力に繋がるように取り組んでいきました。

もちろん素直に従ってくれないことも、これは嫌だと投げ出してしまうこともたくさんありました。
自分の好きな課題だけをやりたがり、嫌いなものは後回しという状態では学習の習熟度にバランスを欠き、総合的な成長が望めません。
苦い薬を嫌がられても何とか自分から飲んでくれるよう工夫するように、学習の前に本日の予定を先生とお友達がお互いにしっかり確認して、約束をしてから始めることにします。
それでも集中を欠いたりやる気が見えないときは、その都度静かに声をかけ、約束を思い出してもらいます。

1年あまりそんな毎日が続き、それまでは落ち着かず、学習に意欲がなくといった様子が続きました。
就学まで残りひと月となった頃、ふっと突然現れるお友達の成長の兆しが見え始めました。
不明瞭だったお友達の言葉ですが、だいぶ正確に聞こえる言葉が増えてきていました。
先生とのコミュニケーションが円滑になり始めた頃、「あいうえお」を皆と一緒に復唱できるようになり、想いを言葉で表せるようになってきました。

次第にお友達同士の関わりが増えてきたお友達は、切り替えも早くなり、何事にも積極的になってきました。
手先の訓練を重ね、手指が器用なお友達は、目を輝かせて着座姿勢のまま作業に取り組みます。
座って取り組むことが苦痛でなくなり、集中時間が伸び、離席が減り、落ち着いて課題に向かう姿を見せるようになりました。

今もお友達は体で感じ、状況を判断し、静と動の活動を繰り返す中で更に感覚統合を図ります。
これからは学校の学習も視野に入れ、着座姿勢を保ち、学習体制の確率を支援し、お友達同士の関わりを通して集団生活のルールやマナーを身に着け、どんな相手とでもコミュニケーションが取れることを目指して挑戦し続けていきます。

COMPASS発達支援センター丸亀NEXT
所在地:〒763-0082 香川県丸亀市土器町東5丁目220
T E L :0877-35-7218

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