COMPASS本部教室 そろばんと会話と集中は

火曜日のコンパスです。
COMPASS本部教室に通い始めて5年、春には小6年生になるお友達。
保護者様は、成長とともに出るようになった吃音のせいで小学校生活で落ち着いた行動が出来るか、お友達と仲良くできるかを心配されていたといいます。
また好きなことに熱中しすぎて厳しく注意をしないと次の行動への切り替えが出来ないことも気がかりだと話されていました。

お友達の個別支援計画の中心にまず置いたのは「文章の理解」でした。
計算は得意なのですが、文章の理解が未熟なために、算数の文章問題が理解できていない状況でした。
また、落ち着いて指示を聞き、理解して行動できるようになることも大切な計画とされました。
落ち着いてゆっくり会話することで吃音をなくしていこくとも、もちろん目指します。
また、お友達同士の交流で仲良く過ごすことも目標としました。

ニコニコと元気、屈託なく笑う明るいお友達。
一方で気持ちが高揚し切ってハイテンションになると、次の行動への切り替えが簡単ではありませんでした。
学習中の着席は出来るのですが、あまり興味のないことには集中が途切れがち。
保護者様が気にしておられた吃音は、普段のおしゃべりではあまり発現はみられず、皆の前に立っての発表や、質問への返事をするときに出てしまうようでした。
伝えなきゃ…との思いが強いときほど吃音が出てしまい、周りのお友達に思いが伝わらず、トラブルもあったそうです。

写真はイメージです

ハイテンションになると切り替え不能になるため、まずは気持ちを落ち着かせるために静かタイムがお友達には有効だと判断されました。
他にも言葉が自然と出るように「音読」と「あいうえお表唱和」、読解力を身につけるため「教科書ワーク」、文章力を身につけるため「日記」を習慣化した学習に設定しました。
これらに、お友達の希望もあり「そろばん」の上達を通して集中力と計算力の向上を目指し、自信につなげていくことも加わります。

吃音は、無理に矯正したり、指摘や言い直しさせることは、かえってマイナスになることもあります。
まずは数々の意思の籠っていない単語を発語し続け、次に音読などの文章へとステップアップすることに挑戦していきました。
文章の苦手意識があるお友達は、文章作りの際に「句読点」を正しく振ることができませんでした。
話し言葉として口に出す音の区切りと、文章の区切りには開きがあるので混乱しがちです。
文章にしたところ言葉の半端なところで「、」や「。」を書いてしまっていました。
毎日「日記」をつけながら、1つ1つ正しい句読点の場所を何度となく繰り返し続け、少しずつ打つ位置がわかるようになっていったお友達です。

写真はイメージです

気持ちの切り替えに時間がかかり、強く注意をしないと行動に移せないことが長い間続いていました。
初めのうちは先生が都度声掛けで促しを続けましたが、一向に好転の兆しが見えません。
そこで活動に入る前に事前に「何を、どこまでするのか?」など見通しが立つ計画をたて、切り替えの目処が立つように工夫していきました。

お友達にとって「そろばん」という選択は、集中力を伸ばすことにかなりの相乗効果となって現れ始めます。
学習は素直に従うのですが、そろばんについては早い時期からかなり意欲を見せるようになっていきました。
一緒にそろばんをスタートをしたCOMPASSの他のお友達が自分より早く昇級したとき、お友達は悔しがり、感情が極まって涙を流すような場面すら見せたといいます。
先生は、悔しがるお友達をそっと別室に呼び、気持ちが落ち着くまで長い時間話を聞いてあげたそうです。
その瞬間は辛くて、悔しくて、身の置き所がない程の気持ちでしょうが、それは頑張ったからこそ味わった素晴らしい気持ちの揺れです。
この経験はお友達の未来できっと良い肥やしとなるはずです。

写真はイメージです

その後もお友達はたくさんの検定に挑戦し続け、現在、暗算2級、珠算3級となりました。
目に見える「合格証書」という形はお友達の自信の裏付けともなり、一つ一つ間違えずに球を弾くことで必ず正答に繋がるように、どんな場面でも1つ1つなすべきことを進められるようになっていきました。
本もよく読むようになり、最近では歴史のが好みのようで、しっかり内容の理解もできているのだとか。
関心のないことへの集中は途切れがちでしたが、最近では、まずは目を通してみて難しい場合は質問するなど、決して投げ出さず、最後まで自分で考えるようになりました。

多彩な年齢層のお友達と関わることも刺激になったのか、人前での発表や、返事に対しての吃音もほとんど聞かれなくなりました。

どちらかと言えばお調子者だった通い初めのとは比較にならないほど成長を見せ、言葉遣いも年上には敬語を使えるようになり、年下のお友達のことを気遣って優しい声かけをするなど、自分から関わる頼もしい姿に感無量の先生たちです。

4月には6年生になるお友達。
翌年に迫った中学進学に向け、少しレベルの高い応酬話法ができるように対応範囲を広げ、今もなお長く続けているそろばんでは、暗算・珠算ともに次は1級の合格を目指し、殻を破って一つ外側の広い大きな世界への羽ばたきを支援していきます。

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